コータローです。
「指揮者」というとどういうイメージを持たれるでしょうか?
・オーケストラや合唱団の前で身振り手振りしている人
・音楽の総責任者であり、リーダー
・音楽を揃えるためにリズムを取っている人
・楽譜を研究している人
実際のところ指揮者なんて必要なの?
と思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに指揮者がやっていることは、外から見ると分かりづらいかもしれません。
指揮者が変わると、音楽が全く変わるなんて言われているけど、本当のこと??
なんて思うかもしれません。
実際のところ、指揮者のお役目というのは何かを考えるときに大事なことが一つあります。
それは、
指揮者は自分では音や声を出さない
ということなのです。
当たり前といえば当たり前なのですが、指揮者は自分で音を出すのではなくて、誰かに「音を出してもらわないと」いけないのです。
いくら自分が演奏がうまかったとしても、深い音楽の洞察があったとしても、指揮の技術が高かったとしても、実際に演奏するのは自分ではないのです。
ここから紐解ける指揮者のお役目とは、
・才能を引き出す人
・引き出した才能を方向付ける人
だと私は考えています。
演奏者がいかに自分の能力を最大限に発揮してもらえるのかを常に考えて、その環境を整えること。
理想の世界を示し、その実現に向けて仲間たちと歩むこと。
それが指揮者のお役目です。
素晴らしい演奏をするためには、実は
演奏する前になにをしてきたのか
が一番大事なのです。
そこができていたら、実際、指揮者は「音楽の始まりと終わり」だけを示せば、ほとんど他にすることがないくらいです。
これまで、素晴らしい指揮者と共演させていただきました。
そんな指揮者の方が終始行っていたのは、細かい音合わせや間違いを指摘して直すようなものではありませんでした。
「いかに演奏者のマインドを高めるか」を考え抜いて、それを言葉、あるいは指揮を通じて伝えていました。
そういうとき、演奏者はいつもの自分であれば決して出せないような声を軽々と出してしまいます。
一人一人の感動が掛け算されて、大きな感動が生まれます。
こういうエネルギーの相乗効果が生み出される場を創っていくこと。
それが指揮者のお役目と言えるでしょう。