こんばんは、コウタローです。
私がつねづね思っていることがあります。
それは、
上手い歌じゃなくて、
心がこもった歌を歌いたい!
ということです。
もともと自分がへたくそなことにウンザリして、
どーしても上手い人と自分を比べて、
やったら早く上達する後輩に嫉妬して、
あーなんでできねーんだ・・・!!
マジで絶望していた時期もありました。
そんなときは、とにもかくにも
『上手くならなければ意味がない』
というように思い込んでいましたので、
めっちゃたくさんの時間・労力・お金を
つぎ込みまくっていました。
いちおうそれでも上達はしたのですが、
一向に気が晴れる気配もなかったですし、
いつまで経っても落ち込むとかして、
自信もなくなっていきましたね〜。
で、どうにもこうにも
行きづまってしまった私を救ってくれたのが
『自分本来の声』との出会いでした。
『自分本来の声』というと
なんだかスゴそうですが、
実はそんなに難しいものではないんです。
自分本来の声の響きは、
手に入れるものではなく、
思い出すものでした。
これに気づかせてくれた声の師匠には
本当に感謝しています。
それにしても驚いたものですよ。
師匠のワークショップでは、
歌なんてぜんぜんやったことがない
主婦の方なんかがけっこう多かったんですが、
これがまたスゲー声してるわけです。
とにかくエネルギー、
生命感に満ちている!!
原始的な声というか。
ビームかと思いましたよ。
もちろん声楽的に練られている声ってわけじゃないので、
そのまま歌えるか?と言ったら、
そんなことはないでしょう。
しかし、私はその
『声そのものが光り輝いている!!』
ということに衝撃を受けました。
でも、正直20年近くもボイトレに
いそしんできたわけですから、
そうそう簡単に認められませんでした。
『いやいや・・・歌声としてはダメでしょ』
『歌唱技術は俺の方が上だし』
『それはちょっと雑じゃ無いかなぁ〜』
『音程悪いじゃん』
頭の中ではこういう
みみっちい言葉がグルグル回ってましたね〜。
ちっちゃ!!
最初はそのプライドが捨てられなくて、
どーしても素直に声が出せませんでした。
まぁ、だいたいこういう
強烈な抵抗感が起きるときは
図星だからなんですけどね(´Д`)
『でも、これまでのやり方で上手くいってねーんだから
しゃーねー、やってみるか。。。』
ここに至るまでにけっこうかかっちゃいましたけど、
そこを認めてから、少しずつ声は変わっていきましたね。
まず、気づいたのは、
自分の声のことをいかにちゃんと扱ってなかったか・・・
ってことでした。
技術的に音がちゃんと合ってるとか、
発音が正しいとか、リズムが合ってるとか・・・。
そういうのは今までも注意していたのですが、
『自分の声そのもの』
とちゃんと向き合っていなかったんです。
自分の声って・・・
どんな風に見えるのかな?
どんな風に聞こえるのかな?
どんな風な質感・温度なのかな?
どんなにおいなのかな?
どんな味なのかな?
そして、
自分の今の感情を声で表すとしたらどんな声なのかな?
そんなことに意識を向けて
少しずつ取り組んでいったんですね。
そうすることで、
いままで色々と何重にもしていた
厳重なコーティングがだんだん接がれて
『自分の声』の原石
が見えるようになっていきました。
これは嬉しかったなぁ〜。
日に日に声が変わっていくんですよね。
やっていたことはけっこうシンプルです。
言ってしまえば、単にロングトーンしてるだけ。
「あーーーーーーーーーーーー」
みたいな感じで、伸ばして終わり。
端から見てたら
『何やってんのコイツ?』
って感じかもしれませんが、
いや〜、この時の至福感といったら無いですよ(笑)
続けているうちに
『たった一音ってこんなに豊かな世界なんだ!!』
ということに気づいてきて、
これには本当に驚きましたね〜。
そんなこんなで1年半くらい
続けてたと思います。
この間、私は『歌う』ってことは
ほとんどしてませんでした。
散々歌っていたバッハのアリアとか
好きなアーティストの歌とか、
あんまり歌う気にならなかったんですよね。
でも、ある時ふと、
「あ、歌ってみたい!」
という気持ちが沸き上がってきて
1年半ぶりくらいに歌ってみたんですね。
そしたら「あれ?」って感じで
すごく不思議だったんです。
あまりにもすんなり歌えたんですね。
いままで気になって仕方が無かった
音程も
リズムも
声質も
喉の苦しさも
腹式呼吸も
軟口蓋も
舌の脱力も・・・
ぜんぜん意識にものぼりませんでした。
そうではなくて。
歌の歌詞や沸いてくるイメージが
自分の声と一体になって出てくる。
このことに心底驚きました。
これは、かつて自分がそうありたい!
と思っては諦めていたような境地だったんですね。
自分の想いが声に乗り、
歌となって響き渡っていく。
なんて幸せなことだろうって思いました。
この経験を通じて分かったことは、
自分本来の声の響きというのは、
何か特別なことをして身につけるものじゃない
ってことです。
すでにあったんです。
最初から、自分の中に。
そして、もう一つわかったのは・・・
声はもう一人の自分自身だった
ってこと。
声と向き合っているうちに、
だんだん自分自身が浮き上がってくる・・・。
自分のことが分かってくる。
そんな感覚になることが
たくさんありました。
自分の人生を生きる。
その感覚が自分の中に生まれたのも
『自分の声』と向き合ったことが
本当に大きなキッカケになっています。
外にいろいろと答えを求め続けていたのだけど、
実はずっとそこにあった。
声には、その人の人生が表れる。
ショボくてもいいし、
音程もぐっちゃぐちゃでもいいし、
ひっくり返ってもいいし、
割れてもいいし、
息が続かなくてもいいし、
喉が締まってもいい。
だけど、自分の声で。
自分の声で、
ありったけを込めて歌えるなら。
あなただから、
あなたじゃ無きゃ歌えない
響きがきっとある。
そこにこそ感動って生まれるんじゃないかな。