この人のブレスがすごい

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約7分

公開しているコンテンツで
感動を生み出すには?』というテーマの動画があります。

 


▼『本当に感動する歌をうたうために必要だったこと』

 

この動画、なんで撮影することにしたのか
さっぱり覚えていないのですが、
たしか誰かとレッスンした後に


こいつについてまとめておきたい!


と衝動が起こって一気に作った記憶があります。


改めてばーっと見てみたら
2年以上前に撮影したモノにも関わらず、
まったく今と言ってることが
変わってない(笑)


1時間と長い動画ではありますが、
私が歌っていく上で、
人に指導していく上でも
超超超超大事にしていることのエッセンスが
詰め込まれています。

 

 


で、そのなかでブレスについて
語っている部分があります。

 


▼ここからです

 

ブレスってのは、
要は息の吸い方、吐き方ですが、
このブレスの扱いで歌は
ガラッと変わるよ!


ブレスの仕方でも
その人の音楽への向き合い方が分かるよ
って話をしてます。

 

 


で!

 


メルマガ読者の芝野さんから
こんなメッセージが来ました。

 

 

コウタローさん、おはようございます。


ブレスといえばめっちゃ印象に残ってるのが一つあります。
聞いた瞬間にすごいインパクトがあって記憶にすりこまれました。


もしかしたら表現方法としてこういう使い方をしている例は
他にもたくさんあるのかもしれませんが、
初めてインパクトを受けたブレスです。

まふまふがカバーしたアイネクライネの0:24くらいのところ。「〜育てて歩く」のあと。


すごくいいです!

 

 

これ、必聴!!
確かにすごくいいです!
しかもあまり無いブレスの使い方してます

 


レコーディングされた作品って
主にブレスの扱いが2つに別れています。

・音楽の一部としてブレスを扱う
・ブレス音はなるべく目立たないように


という感じです。

 


ブレス音というのは
声の印象をものすごく大きく左右してます


例えば、息混じりの声は
情緒豊かに感じるのです。

 


これは


声を息が包み込む


という感覚があるためで、
何か柔らかいものに包まれるような、
そんな感覚が生まれるからなのです。


お笑い芸人さんとかは
ハスキーな方が多いですよね。

 


逆に息漏れが無くなって、
芯のある声になってくると
今度は主張力が増してきます。


これは声の芯が何か目標に向かって
突き進む、という感覚が生まれるためで、
力強さを感じさせるのです。

 


表現豊かな歌手というのは
歌詞の内容や、
自分の感情、想いを
ブレスの使い方で表現していたりします。

 

 


で、さきほどの
まふまふさんですが、
この方はかなり息混じりで歌ってますよね。


他の歌を聴いてないのでもともとがこうなのか、
この歌が特にこうなのかは分かりませんが、
歌詞を読んでみると
女性の切ない感情が表現されていますよね。


それがなんでしょう、、
こう、伝わってくる感じがしませんか?

 


逆に、これが息漏れの無い声で
ビブラートバリバリで
朗々と歌ってたら
コレジャナイ感がヤバいと思います。

 

 

 


で、

 


メッセージにもあった
24秒からのところです。


ここ、珍しいブレスの使い方してます。

 


普通は歌い出す前に息を吸う音が聞こえるのですが、
この場所ではフレーズの後に、
余韻のようにブレス音を入れてます。

 


これは明らかに『残して』ますね。
普通だったらカットしてると思います。

 


けど、あえてこのブレス音が残ることで
歌の情感がさらに豊かになっています。

 


もう少し見てみましょう。


冒頭からのブレス箇所です。

 


ハッキリしたブレス=B
わずかなブレス=b


です。

 

B1あたしあなたに会えて B2 本当に嬉しいのに
b3当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ
B4今痛いくらい幸せな思い出が
B5いつか来るお別れを育てて歩く B6

 


2行目の少し長いフレーズが歌いきれることから
まふまふさんは歌うだけだったら
こんなにたくさんブレスする必要は無いはずです。

 


だから、B2のブレスは


息は足りてるけど、
表現のために『あえて』入れているブレス


なんです。


じゃあ、なんで入れているのか?

 


それが歌詞を読むと分かってきます。

 


B1は、少し急き込むようなブレスです。
これは『早く伝えたい!』という想いから。


B2は『本当にうれしい』ということを
ちゃんと表現したいと思ったから
あえて言い直した。


b3は、嬉しいはずなのに、悲しいという
二つの想いで揺れている『ためらい』の表現。


B4では、ブレスの音が変わってます。
ブレスの音が後半に向けて小さくなるように
吸っていて、その後のフレーズの歌も
独白のような感じで内省的になっています。


B5は、他よりも少し落ち着いた感じのブレス。
今の喜びと未来のお別れへの予感を
静かに受け入れようとしている。

 


そしてB6です。


普通だったらB6の後は歌がないので
レコーディングには残さないはずですが、
あえて残していることで、
切なさや儚さが表現されています。


ここまでの歌が余韻のように残り、
さらにこの先のストーリーを予感させる。

 


ためしに脳内でこのB6を
無くしてみると
『なんか物足りない・・・』
という感じがすると思います。

 

 


という感じで、たった30秒くらいですが、
ブレスという観点から読み解くだけでも
歌には膨大な情報が詰まっている
ことが分かると思います。

 


本当に伝わり、
感動を生み出す歌手はこういうのを
やるのがアタリマエ』なのです。


考えてやっているワケではありません。
感覚でやっていることがほとんど。


なので、アドバイスを聞こうにも


『え、フツーに』
『何もしてないけど?』


という曖昧模糊とした
答えがかえってくることが多いのが
なかなか厳しいところです。


彼らからすると
『なんで日本語が喋れるのですか?』
と言われているようなものですからね。

 

 


じゃあ、最初の一歩として


これをマネしたらどうだろう?


と思うかもしれません。

 


確かにそれも一つの手ですが、
単に表面上を真似たとしても
それでは実は伝わる歌にはなりません。

 


タイミング、音質もろもろを
同じように似せられたとしても
それだけでは表面上は似ている
ただの劣化コピーになってしまいます。

 


そうではなくて、
必要なのが『自分らしさ』です。

 


こういう技法がある、と知った上で、
じゃあ自分だったらどうしたいのか?

 


この歌詞はどういう想いなのか?
自分の人生とはどう共鳴しているのか?
その想いを表現するにはどんな声、ブレスが必要なのか?

 


結果的に同じ表現になるかもしれません。
でも、もしそうだったら
それはもうコピーではありません。

 


自分の中から生み出された歌。
あなたの歌です。

 

 


だから誰かに届く。
感動が生まれる!

 

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